便秘

便秘は女性に多い悩みのひとつです。お通じの良い方には想像できないかもしれませんが、便秘の人はきつい方だと5~10日に一回しか便が出ない、 なんてこともあります。
便は大腸で作られますが、週に最低3回以上、すっきり排便ができて、その上、便が軟らかいバナナ状なら、大腸が健康な証拠。逆に、毎日排便があっても量が少なかったり、便が硬かったり、残便感があってすっきりしないといった場合は、便秘気味といえます。
毎日出ていないと便秘、というわけでもありませんが、薬を飲んで強制的に毎日出してるという方も便秘である、といえます。
こうした症状はなぜ起こるのでしょうか。
慢性の便秘は糖尿病、腸閉塞、大腸がん、胃・十二指腸潰瘍、結腸がんなど内臓の異常によっても起こりますが、便秘症の大半は極度の精神的な緊張、不快感、不安感など精神的なストレスの蓄積、無理なダイエット、睡眠不足などが原因で発症します。
すなわち、便秘症のほとんどに自律神経の失調が関連しているのです。
胃や小腸に比べると、大腸の消化作用は微々たるもので、主に水と電解質を吸収する働きをしていますが、自律神経のバランスが崩れていると、水分の吸収が抑制され下痢の症状を引き起こしたり、逆に水分吸収作用が活発になりすぎて水分の少ない硬い便が大腸に溜まり便秘になります。したがって、慢性的な便秘の多くは、自律神経失調症の一種だと言えるのです。

なお、環境の変化によって一時的に発症する一過性の便秘症もあります。

健康な大腸の働き

大腸の長さは、約1.5メートル。食道、胃、小腸に続いて、消化の最終段階で便の排泄を行うなどの働きを担っています。食物の残りかすは、はじめはどろどろの状態ですが、大腸を通り抜けるうちに水分が吸収されて固まり、便として排泄されます。健康な大腸は、腸の蠕動(ぜんどう)運動といってギュッと強く縮んでは緩む動きを繰り返すことで、便をスムーズに送り出していきます。

小腸の働き

食事から摂った栄養素のほとんどを消化・吸収しているのが小腸です。食べたものは食道と胃を経て3~4時間ほどで小腸を通過し、大腸に送り込まれます。

便秘の種類

まずは便秘の種類ですが、大きく分けて機能性便秘と器質性便秘の二種類に分類されます。
普段便秘に悩まされている多くの方は機能性便秘と呼ばれるものに当てはまります。

弛緩性便秘

多くの人がこの種の便秘です。結腸で蠕動(ぜんどう)運動が弱いと、便を先に送り出せなくなり便が大腸に長い間留まり、水分を過剰に吸収し便が硬くなって排便がしにくくなります。 運動不足、食物繊維不足、水分不足、極端なダイエットによる栄養不足、腹筋の筋力低下などが原因です。長時間のデスクワークの方に多い便秘です。

痙攣性便秘

腸の動きが過敏になったり、弱くなったりを繰り返し便がうまく運ばれなくなる。コロコロとした便しかでない。 精神的ストレス、環境の変化、過敏性腸症候群などから起こりやすくなります。蠕動(ぜんどう)運動が強くなりすぎて、腸がけいれんをおこし、便がスムーズに送られなくなる。
職場や家庭でストレスが多い人。リラックスすることが下手な人。
常に緊張が抜けない人に多い便秘です。

直腸性便秘

習慣化しやすく、直腸に便が溜まっても排便反射が起こらず、便が溜まってしまいます。 高齢者や寝たきりの人の他にも、気恥ずかしさやタイミングが合わないなどで排便を我慢する習慣がある人に多いです。排便のリズムが乱れていると、便が直腸にたどり着いても便意が起こらない。朝、化粧や身支度に時間がかかり、トイレタイムをキープできない人。職場のトイレでは恥ずかしくて排便できず、便意を我慢してしまう人に多い便秘です。

もうひとつの器質性便秘は重篤な場合があり、大腸がんや腸閉塞、腸管の癒着などによって引き起こされるもので、 便秘以外に激しい腹痛、嘔吐、血便などの症状が現れたらすぐに病院へ行き、正しい処置をしてもらう必要があります。

便意を感じる仕組み

胃に食べ物が入ると、その刺激で大腸の蠕動(ぜんどう)運動が起こり(胃・結腸反射)、便が直腸にやってきます。すると、その情報が仙髄の排便中枢という神経に伝わって、直腸で便を送り出す働きが強くなり(排便反射)、同時に脳から“便を出しなさい”と、命令が出るのです。便秘の人は、直腸のセンサーが鈍くなってしまい、こうした反応がうまく起こらなくなってしまいます。

ワンポイントアドバイス

食物繊維・乳酸菌・ビタミン・水分・睡眠をしっかりとりましょう。
便秘のときに積極的に摂った方が良いものに、食物繊維と水分がありますが、食物繊維の種類によっても合うものと、合わないものがあるのです。
わかめなどの海藻類に多く含まれる水溶性食物繊維と、根菜、穀類などに多く含まれる不溶性食物繊維がありますが、 弛緩性便秘の人が不溶性食物繊維ばかり摂ってしまうと不溶性食物繊維は腸内で水分を含んで膨らみ、本来だと腸が動いて排便が促されるのですが、その反応が弱いためにさらに便が詰まってしまいます。

そのためわかめや昆布などの水溶性食物繊維を多く摂り、腸の動きがあるときにはゴボウやイモ類、 豆類などの不溶性食物繊維を取りながら腸内環境を整えましょう。

食物繊維を摂取していても、水分が不足していると便が硬くなり詰まってしまう場合もあるため、 食物繊維を摂取するときは必ず十分な水分も摂りながらにしましょう。

食物繊維の他に乳酸菌やビフィズス菌も腸内環境を整える作用のある善玉菌を増やすはたらきがあるため、 便秘の時にはヨーグルトを積極的に摂取するといいでしょう。
ヨーグルトを食べるときにおすすめのタイミングは朝ではなく夜です。
これは就寝中のリラックスしているタイミングが最も腸管の吸収率が活発になるため、効率よく乳酸菌やビフィズス菌を吸収してくれるからです。

生活習慣の改善が近道

便秘症を改善するためには、規則正しい食生活を心がける必要があります。
特に、排便を促す胃・結腸反射は朝方に強く起こるので、朝食を抜く癖を改めなければいけません。 適度な排便習慣を身につけるために、朝の決まった時間にトイレに入るように心掛ける必要もあります。
また、暴飲暴食を慎むこと、腸に刺激を与えるものを食べないことも大切です。
また、精神的なストレスが原因で便秘になる場合も多いですが、便秘になって排便できないことでさらに精神的なストレスが蓄積されることになるため、気分転換になる時間をつくることも大切です。

治療について

主訴が便秘症だからといって、腹部に治療を行うわけではありません。
便秘症の多くは、自律神経のバランスが崩れたことに起因しているので、自律神経のバランスを整えることに重点を置く必要があります。
特に、慢性的な便秘症に悩まれている方は、精神的なストレスから情緒不安定になりやすいため、精神を安定させることも考慮し、治療をしております。
自律神経のバランスが崩れて、便秘症になった人は肩甲骨の内縁が非常にこっている場合が多いです。電気療法と手技療法でこれらの筋肉をほぐしていきます。



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