線維筋痛症

線維筋痛症候群(fibromyalgia syndrome:FMS)は関節、筋肉、腱など身体の広範な部位に広がる慢性的な筋痛とこわばりを主訴とし、同時に全身倦怠感や睡眠障害などの様々な不定愁訴を訴える症候群です。当初、FMSは身体の明確な部位に圧痛を認める以外、血液検査やX線検査などで特別な異常が見つからず、リウマチ類似なことから筋リウマチや心因性リウマチ、非関節性リウマチ、軟部組織性リウマチ、結合組織炎、あるいは結合組織炎症候群など多くの名前で呼ばれ、また症状の変化に心因的な要因が大きく関与することからその存在すら疑われた時期もありました。しかし1990年にアメリカリウマチ学会により分類基準が作成され、線維筋痛症あるいは線維筋痛症候群(FMS)の一般的な診断基準とされています。

FMSの診断基準は、広範囲に及ぶ疼痛が3ヶ月以上持続し、全身18箇所に存在する圧痛点のうち4kg以下の圧力で11箇所に疼痛が存在すること。性差は圧倒的に女性が優位であり、全体の75%を占めます。特に55~65歳代の女性に多いと言われています。このことから慢性的な筋骨格の痛みを広範囲に訴える場合、FMSを念頭に置いた診断・治療が必要となります。

しかしながら、我が国ではFMSに対する認知度が低いこと、またFMSに対する有効な治療法が確立していないことなどからFMSと診断されることは少なく、診療を避ける医師が多いことが大きな問題となっています。このような症状を訴える疾患の多くは難治性や心因性の疾患として取り扱われていることも少なくありません。

線維筋痛症候群の原因

これまでさまざまな検討が行われてきましたが、線維筋痛症の原因は現状では明らかではありませんが脳の異常で起きると言われています。痛みを抑制するセロトニン・ノルアドレナリン・ドパミンが脳から出なくなり継続的に痛みを出し、痛みが引かなくなります。その状態が続くと脳が過敏状態なってしまうため、激しい痛みが発生します。
心因的な問題に寄って症状も変わっていくことからストレスも大きな原因として考えられています。

  • 仕事や対人関係、不安・緊張・うつなどの精神的なストレス
  • 雨風などの天気や気候、気圧・引っ越し・転勤など環境のストレス
  • 排気ガス・薬・たばこ・お酒・添加物など化学ストレス
  • 手術・出産・疲労・事故・捻挫や突き指など思いもよらぬ怪我などの身体的ストレス

など色々な種類のストレスがあります。 他には育った環境や親子関係など幅広く関係します。 休養・休息の取り方もストレスの受け方や溜まり方も人により違います。過労・睡眠不足・運動不足、感情なども関係してきます。

線維筋痛症の症状

FMSの中心症状は全身の広範囲に慢性疼痛と筋付着部に多数の圧痛が存在することが特徴です。疼痛は筋肉と軟部組織の痛みが中心で、首および腰などの体軸部分に集中するが特に近位僧帽筋に生じることが多いです。また疼痛以外には全身のこわばりや全身倦怠感を訴え、他に随伴する臨床病態として過敏性腸症候群、頭痛、しびれ感などが臨床上問題となります。一般に症状は中等度の運動、睡眠障害、情動的ストレス、湿気の多い天候、日差しなど様々な要素により悪化することから、診断や治療が難しい疾患の一つとされています。症状は朝に悪化するなど関節リウマチに類似します。

痛み方は

  • 飛び上がるほど痛む
  • ひきつれるよう痛む
  • ビリビリ電気が走るよう痛む
  • 骨が裂けるよう痛む

といった表現がされています。
一方、痛みとこわばり以外に、多くの場合に様々な随伴症状を伴います。

身体症状 全身疲労・全身倦怠感、微熱、口や眼の渇き、手指の腫れ、皮膚の循環障害、寝汗、過敏性腸症候群様症状(腹痛、下痢と便秘の繰り返し)動悸、呼吸苦、嚥下障害、膀胱炎様症状、体重の増減、気温への順応困難、顎関節症症状、各種アレルギー症状、心雑音、低血圧症状など
神経症状 頭痛・頭重感、四肢の感覚障害、手指震え、めまい、浮遊感、耳鳴り、難聴、筋力低下、まぶしさ、見にくさなど
精神症状 睡眠障害(不眠、睡眠時無呼吸症候群)、抑うつ気分、不安感、焦燥感、集中力低下、意識障害、失神発作など

鍼灸の効果

お薬での治療はもちろん大事ですが、お薬ですと痛み止めと、脳の神経の働きを改善する薬の両方が必要になります。
鍼灸治療はその両方に作用することが期待できます。
痛みのある所に鍼を刺しますと、鍼刺激はその場所の血流を改善したり、筋肉を緩め、痛みを改善します。 手や足にある経穴(ツボ)は、脊髄から脳へと伝わり、脳に刺激を与えます。これにより、脳に伝わった刺激は中枢神経の乱れを改善し、また、神経の働きの乱れを改善するように働きます。
そして、この鍼治療は、からだ全体の血流を改善します。脳だけでなく、全身の神経や血管の働きを正常にすることができます。
このように鍼治療は、末端だけでなく、中枢にも作用しますので、線維筋痛症に有効であると考えます。

線維筋痛症への鍼灸治療方法

まず、問診からしっかりさせていただきます。
線維筋痛症になるきっかけとして、何か経験をしたことの内容な痛みがあったか、強いストレスを長い間感じたことがあったかなどお話を聞かせてください。
意外に感じられるかもしれませんが、首の痛みがなかなか治らず、線維筋痛症に移行したということもあります。 痛みやストレスに関しましては、詳しくお聴きする必要があるのです。
鍼灸治療を進めるにあたり、線維筋痛症になる前に、首の痛み、腰痛などの体の症状が先にあった場合は、まず、その場所への鍼治療をします。
これは、線維筋痛症の根本を改善する鍼治療は、痛む場所の改善と脳の神経の働きを正常にすることの両方にあるためです。
脳の神経の働きを改善するのは、神経の働きを調整する、血流を改善する必要があります。
凝り感や痛みを起こしている原因を先に取り除いておきますと、神経伝達や血流の改善が上手くいきやすいからです。
そして神経の働き、血流を調整する鍼治療をします。手や足の経穴に鍼を刺すと、そこにある神経から、脊髄に信号が伝わり、更に脳の視床下部へと伝わっていき、脳の神経の働きや、脳への血流量が増えることが分かってきています。
鍼を刺して10から15分ほど、刺したままの状態でいてもらいます。
この時に、手足にムズムズ感や、ぼんやりと重い感じ、温かい感覚、あるいは眠くなったりすることがあります。 この場合は、その流れに乗ってリラックスして頂ければ、鍼治療の効果は上がります。
また、感じ方はその人によって異なりますのでこのようなことが起きなくても、鍼治療の効果は期待できますので、ご安心ください。



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